人外作品目録について
人外好きが人外作品を探す手助けになればと、目録ページを作成しました。
※現時点で神話、ゲームなどは除いています。近日追加予定です。
(2022年11月、更新・追記あり)
目録について
これらの目録は、全ての人外作品を網羅しているものではありません。私がこれまで触れた作品一覧です。
今後作品に紐づけた紹介ページを作成するため、私が触れた作品のみになっています。
偏った内容になっていますが、言い換えれば、人外好きに刺さる要素が、大なり小なりあれど、含まれていることを確認している作品たちです。
有名なものが入っていなかったり、極端に作品数が少ない行があったりもしますが、これから増えていくので、気長に見守ってください。
※BL作品(ボーイズラブレーベルから出ているもの)について:個人的には分けたくなかったのですが(人外の時点で性別を超越しているものもいますし)、タイトルに直接的すぎる単語が入っている場合もあるので、基本的に別に一覧を設けています。
各目録リンク
*タイトル別(BL以外)
*タイトル別BLのみ
*メディア形式別(BL以外)
*メディア形式別BLのみ
*吸血鬼系
*神仙系
*獣人・鳥人系
*天使・悪魔系
*水棲系
*爬虫類・竜系
*死者・不死者系
*妖・鬼系
*人工物系
*魔法使い系
*宇宙人・その他
*パニック・怪物系
各目録の見方・目的
*タイトル別目録
「人外」が登場する作品を、映画・小説・漫画などの形式に関係なく、作品タイトル50音順で並べています。(タイトル/作者。映画などは作者表記なし)
これは私の作品紹介ページが充実すればするほど価値が出てくる目録なので、現時点で価値は無きに等しいです。
*ジャンル別目録
「人外が出てくる映画がみたい」「今日は小説の気分」といった、ジャンルを限定して人外を味わいたいときに役立つ目録です。
これも私の作品紹介ページが充実すればするほど価値が出てくる目録なので、現時点で価値は……
メディアミックスがされている作品で、原作と他形態でタイトルが異なっていないとき、原作のみを載せています。
(つまり原作が小説で、漫画が出ている作品で二つが同じタイトルの場合、小説の欄にタイトルがあります。余裕ができたら全てのメディアミックスも網羅したバージョンに更新したいです)
*登場人外別目録
「無条件に吸血鬼」「今日は獣系を……」といった、その時々に読みたい・見たい人外ものを探すときに便利な目録です。
圧倒的に吸血鬼ものが多いのは、ブログ作成者の性癖です。ご了承ください。
以上の三形態を現在公開しています。
今後、「ライト人外もの、ヘビー人外もの」や「泣ける作品」などの記事作成は考えていますが、もし、「こんな形式の一覧が欲しい」という要望がありましたら、いつでもコメントしてください。できるだけ作成します。
2022/11/21追記【世界観】項目の追加について
今後、作品データに「世界観」の項目を追加します。(過去記事についても後日追加しておきます)
シリアス・コメディなどの雰囲気ではなく、その作品における、人外と人間の種族としての関わり方を書く項目で、以下のようにします。
*敵対状態:人間、人外がそれぞれ互いを認知したうえで敵対している
*小康状態:かつて激しく争っていたが、現在は互いに不可侵条約等を結び、それぞれの社会を築いている
*共生状態:人間、人外が敵対などを経て、共存している。双方社会の交流がある
*否認状態:人間、人外が互いの存在を認知していない。伝説などの形で伝わっているのみで、信じていない人も多い
*反転状態:主人公の人間が別の「人間が存在しない人外世界」に飛び込んでいくことで、自らがマイノリティ=外側になっている特殊な世界観
――さしあたってはこのような区分にしていきます。
作品によっては展開次第でこの区分が変化していくものもあります。ネタバレ回避のためにも、最初の時点での世界観のみを参考に区分します。
掲載人外作品の定義について
上にもありますが、これらの目録は全ての人外作品を網羅しているものではありません。私がこれまで触れた作品一覧です。
人外ものの定義は本当に難しいです。
人外が好きな理由も様々です。
人外と人間の異種恋愛が好きな人。人外同士の恋だって美味しい。
人外が人間社会で、人間が人外社会で抱える苦悩・試練はどちらも胸熱。
人外の形態そのものが好きな人。完全異形も、ほんの一部が人間と異なっていても美しい。
人とかけ離れた思考回路・倫理観にぞくっとする人……人の心を求める人外たち……
単純に「人と違う生き物」が登場すればイコールで人外作品となりますが、イコール人外好きに刺さる作品、という図式が成立するかどうかは人それぞれですよね。
吸血鬼に噛まれて転化した元人間は人外ですが、ゴムゴムの実を食べて能力を手に入れたルフィは人外なのかと言われると、そうではないと直感的には思います。ただし「両者の違いは何か」と問われると、はっきり答えることはできません。
転生もので転生先でエルフが出てくればそれは人外作品です。ただ、エルフが出てくる作品すべてが人外好きに刺さるかと言われたら、それも違う気がします。
そうやって考えていくと、本当にキリがありませんよね。このブログは無限にファンタジー作品を紹介するものになってしまうでしょう。
それはそれで需要があるのかもしれないのですが、このブログをどうにか、人外に刺されたい人外好きのための人外作品紹介ブログにすることを目指して頑張ろうと思います。
お知らせと雑談(2022/11/21)
作品データ追加のお知らせ
以下の作品データを追加し、リンクも各目録とつなぎました。(BL作品以外を載せています)
小説『BLACK BLOOD BROTHERS』シリーズ - 人間人外
※今後も何作品かまとめて更新のお知らせと報告をしようと思います。リンクについても、一つ一つやると時間がかかるので、このお知らせのタイミングで各目録とつないでいくことにします。作品データ投稿との時差が生じてしまいますが、ご了承ください。
個人的に、ライトノベルの『BLACK BLOOD BROTHERS』シリーズは本当にお勧めです。長いのですが、引き込まれる世界観なのであっという間に読み終わります。
目録追加のお知らせ
最近触れた人外作品7作を新たに目録に追加しました。
(メディア形態・登場人外『タイトル』作者、で書いています)
映画・天使『シティ・オブ・エンジェル』
映画・アンドロイド『ブレードランナー』
小説・アンドロイド『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』フィリップ・K・ディック
小説・妖『真夜中あやかし猫茶房』椎名蓮月
漫画・竜、魔女『BURN THE WITCH』久保帯人
漫画・神仙『冥(よる)のほとり~天機異聞~』高橋冴未
漫画・吸血鬼『私とこわれた吸血鬼』厘のミキ
【世界観】項目の追加について
今後、作品データに「世界観」の項目を追加します。(過去記事についても後日追加しておきます)
シリアス・コメディなどの雰囲気ではなく、その作品における、人外と人間の種族としての関わり方を書く項目で、以下のようにします。
*敵対状態:人間、人外がそれぞれ互いを認知したうえで敵対している
*小康状態:かつて激しく争っていたが、現在は互いに不可侵条約等を結び、それぞれの社会を築いている
*共生状態:人間、人外が敵対などを経て、共存している。双方社会の交流がある
*否認状態:人間、人外が互いの存在を認知していない。伝説などの形で伝わっているのみで、信じていない人も多い
*反転状態:主人公の人間が別の「人間が存在しない人外世界」に飛び込んでいくことで、自らがマイノリティ=外側になっている特殊な世界観
――さしあたってはこのような区分にしていきます。
作品によっては展開次第でこの区分が変化していくものもあります。ネタバレ回避のためにも、最初の時点での世界観のみを参考に区分します。
この内容については
にも同文で掲載してあります。
近況・雑談
今更ながら映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを見始めました。人外好きとして情けないほどの遅さ。
エルフにドワーフ、オークに魔法使い……イギリスファンタジー血脈の集大成とも言える世界観を存分に味わっています。次が三部作最後なので、旅の終わりが今からドキドキですね。
皆さんのオススメなどもあったらコメントで教えて下さい!(すでに目録に載ってるか否か、などは気にしないので、気軽に教えてほしいです)
BL漫画『だってこの人かわいいし子供も2人できたから』
『だってこの人かわいいし子供も2人できたから』
【日本/1巻完結】
- ジャンル:BL漫画
- 登場人外:魔王
- 出版年:2021(バンブーコミックス 麗人セレクション)
- 作品の雰囲気:ほのぼの
- 人外×人間の恋愛要素:あり(性的描写あり)
魔王の国と人間の国が敵対状態にあるが、戦争危機などのひっ迫した状況にはないので、基本的にほのぼの。
あらすじ
『武器商人さんとの子供が欲しい……!』(本編第1話より)
魔王様は子作りのために、出入りの武器商人さんに精子提供をお願いする。
子作りはすんなりうまくいき、かわいい双子も生まれ契約終了……のはずが、「最終兵器」のためだけだったはずの二人の関係は終わらず、ついには結婚まで――!
オススメポイント(ネタバレなし)
お気に入り度★★★★☆
ふわふわっとした優しい線の絵が特徴的だが、内容も同じように優しいお話。
むやみやたらに争うような描写もなく、双子の子供がとにかくかわいい。それに勝って魔王様がかわいい。
武器商人さんが夢中になってしまうのもわかるほど、強くてかわいい魔王様に癒される一冊。ストレスなく読めます。
漫画『鉄槌とピエタ』
『鉄槌とピエタ』真冬麻里
【日本/全3巻完結】
- ジャンル:歴史・ファンタジー漫画
- 登場人外:天使
- 出版年:2019年~2020年(アフタヌーンコミックス)
- 作品の雰囲気:ライト、たまにシリアス
- 人外×人間の恋愛要素:なし(主人公二人の不思議な絆は魅力的)
実在の偉人の半生をモデルに、そこにファンタジー要素を加えた、斬新な歴史物語。
あらすじ
15世紀の終わり、イタリアにひとりの男が生まれた。彼の名前はミケランジェロ・ブオナローティ。後世、「人類史上最高の彫刻家」「万能の人」と呼ばれることになる天才芸術家だ。
彼は15歳のときに、空から落ちてきた大天使・ガブリエルに出会う。
ガブリエルの美しさに魅せられ、自身の作品の可能性を感じたミケランジェロは、「究極の彫刻」を彫ってみせると言い切った。それを高笑いで一蹴したガブリエルだったが、結局、守護天使としてミケランジェロの元に留まることを選んだのだった。
感想(ネタバレなし)
お気に入り度★★★☆☆
天才芸術家の物語、となるともっと暗い話になってしまいそうだが、ミケランジェロの自信家っぷり、それを満足げに眺めるガブリエル、という構図ですべての暗さを吹き飛ばしてくれる。
もちろん、シリアスな場面もあり、天界からの敵対勢力なども出てくるが全体的にライトに読める印象だ。ミケランジェロの半生も、深堀しすぎず、浅すぎず、といった絶妙なバランスで描かれている。
傲慢な彫刻家VS傲慢な天使の軽口の応酬がクセになる作品。あんなに顔がよくて綺麗なガブリエルが、口が悪いっていう設定だけでもグッとくる。蛇目……。
小説『BLACK BLOOD BROTHERS』シリーズ
【日本/本編11巻・番外編6巻/完結】
- ジャンル:ライトノベル
- 舞台:現代、人外との共存社会
- 登場人外:吸血鬼
- 出版年:2004年~2009年(富士見ファンタジア文庫)
- 作品の雰囲気:かなりシリアス
- 人外×人間の恋愛要素:あり
本当にシリアスなのだが、明るいキャラクターが多いため救われる。
あらすじ
調停員(コンプロマイザー)、それはブラック・ブラッド(吸血鬼)と人間が共存する特区で、両者の間に起こる様々なトラブルを調停する役割を担っている苦労の多い職業。
葛城ミミコは調停員としての仕事中、奇妙な二人組に出会う。弱点が多すぎる吸血鬼の兄・ジローと、反対に全く吸血鬼らしくない弟・コタロウ。兄弟を自称する彼らだが、一見血がつながっているようには全く見えない。それだけでなく、二人の出自や目的には、様々な謎と因果が絡んでいるようだ。
三人の偶然の出会いは、やがて人間社会と吸血鬼社会すべてを巻き込んだ抗争へと発展していく……
感想(ネタバレなし)
お気に入り度★★★★★
吸血鬼が出てくるライトノベルで好きなものを一つ、と言われたら迷わず挙げるシリーズ。これほどまでに「人間と人外(吸血鬼)の共存」というテーマに真剣に向き合って書かれた小説は、ライトノベル以外にもそうそうないだろう。
全体的に伏線が多く、多数の勢力によって抗争が起きているために複雑な内容だ。だが、それこそがまずこのシリーズの魅力だろう。
誰かと誰かが対立したとき、一概にどちらが悪でどちらが善、と決めつけることは難しい。主人公・葛城ミミコは、そもそもにして「間」に立つことを生業にし、それを人生をかけてやっている人間だ。だから、このシリーズは各勢力の事情・各登場人物の思惑を、ものすごく丁寧に描いている。死んでスカッとするような敵は出てこない。
悲しい物語だが、彼らが誇りをもって生をまっとうしていくのを、じっくり読ませてくれる物語でもあるのだ。
主人公たちは、これ以上ないくらいの最高の結末を迎えたと私は思う。
使命を果たすために生きるジロー、最善の未来をまっすぐに選ぼうとするミミコ。二人は惹かれあい、互いを補いながら成長していく。そんな二人には、ニコニコと能天気に笑うコタロウがいつでも寄り添っている。
だが彼らの未来には、否応なしに人間と吸血鬼の未来までもが絡み合い、そして――
この先はぜひ、ご自身の目で確かめてほしい。
ドラマ『あの星空、あの海。~人魚王の伝説~』
『あの星空、あの海。~人魚王の伝説~』
【中国ドラマ/全32話】
- 原題:那片星空那片海(英題:The Starry Night The Starry Sea)
- ジャンル:ファンタジー/恋愛
- 登場人外:人魚
- 放映:2017
- 主要キャスト:ウィリアム・フォン(ウー・ジューラン)/グォ・ビーティン(シェン・ルオ)
- 作品の雰囲気:シリアス
- 人外×人間の恋愛要素:あり
青い海、青い空、美しい自然……島の生活風景だけでも見ていて楽しい。
あらすじ
美しい海に囲まれ、自然豊かな島で暮らしているシェン・ルオ。彼女はある日奇妙な風体の男に出会う。
その男ウー・ジューランはシェン・ルオの家に置いてもらう代わりに、彼女の言うことを何でも聞くことになるが――彼の本性は人魚。海の人魚たちを束ねる人魚王レグルスその人だった。
さかのぼること約150年前。
レグルスはトゥ・シャオリンという男の罠にはまり人魚族の力の源である霊珠を奪われてしまう。力を奪われたことで深い眠りにつき、現代で再び目覚めたレグルスだが、彼の余命は残り三か月しか残っていなかった。
人魚族に忠誠を誓う巫女の進言によって、彼は最後の力を振り絞り、奪われた霊珠があるというこの島へとやってきたのだ。
感想(ネタバレあり)
お気に入り度★★★☆☆
まず重要なネタバレをすると、これはバッドエンドの悲恋ものだ。(ハッピーエンド好きは見ない方がいいです。)
シェン・ルオの命か、自身の命を取るか、ウー・ジューランは中盤以降ずっと選択を迫られる。
そうして最後、彼は愛する恋人を選ぶのだ――そして彼は泡になる。
このラストが非常に美しく、印象的なものだった。無理やりでご都合主義的なハッピーエンドになるわけではなく、いっそ潔くウー・ジューランは死ぬ。
しかし、正直に言うと中盤のだらだらとした展開が長く、中だるみしている、と言い切ってしまいたいほど。ウー・ジューランが何度も死にかけ、ボロボロになりながら苦しむので、そういう癖のある人にはお勧め。
ウー・ジューランの人外的な見た目についても、若干の違和感がぬぐえない。人魚のパーツの部分、水中では違和感なく綺麗なのだが、地上ではやはり作り物感が目立つ。
ただ、彼を演じているウィリアム・フォンの顔面による「人魚王」の説得力はすさまじく、相手のグォ・ビーティンさんも天真爛漫な表情が本当に魅力的。
やや長い分、二人の交流は丁寧に描かれているので、人外×人間のラブロマンスをじっくり楽しめる。
映画『パーティで女の子に話しかけるには』
【イギリス、アメリカ/102分】
- 原題:How to Talk to Girls at Parties (同タイトルの小説が原作)
- ジャンル:SF、ロマンス
- 登場人外:宇宙人
- 上映:2017
- 主要キャスト:エル・ファニング(ザン)/アレックス・シャープ(エン)
- 作品の雰囲気:パンク、サイケデリック、鮮やかな色調
- 人外×人間の恋愛要素:あり。メイン
あらすじ
内気だがパンクロックをこよなく愛する青年エンは、ある夜、友人とともに奇妙なパーティにもぐりこむ。
パーティ会場の人々が着ているのは、身体に張り付くような衣装。そして始まる独特なダンス……
ふらふらと会場をさまよううち、エンは一人の女性ザンと意気投合する。
二人は一緒にパーティ会場を飛び出した。だが、実は彼女は遠い惑星から来た宇宙人。48時間後には母星に帰らなければいけないのだ。
感想(重要なネタバレなし)
お気に入り度★★★★☆
前情報なしに見たので、宇宙人が出てくる話だったことにまず驚き。そうは思わないよ、この題名……。と思っていたら原作者ニール・ゲイマンのコメントで納得。異性は異星人ほどに遠いものか。
それはさておき。あらゆる物語に出てくる宇宙人の造形が好きだが、今回の宇宙人もかなり奇抜で面白い。
まず、いろいろ意味がわからない! というか理解させる気が――少なくとも最初の段階では――まったく感じられない。
彼らは目の前でなんの説明もなく増えるし、融ける!
私たちは、宇宙人のパーティに偶然迷い込んでしまった主人公と全く同じ立場で、突然コロニーだ、ペアレント・ティーチャーだなんだりと知らない単語を浴びせられる。
この時点で完全な理解を放棄したら、あとは作品の雰囲気に呑まれるだけだ。ザンの奇妙さに驚き、微笑み、そして一緒にライブ会場でシャウト!
だが、幸せなひと時に、48時間というタイムリミットと、ザンの抱える重要な役割が影を落とす。
エンが所属する地球人の世界が薄暗い雰囲気で描かれているのに対して、宇宙人たちの世界は常に色鮮やか。その明るさが、逆に彼らの過酷な現実を際立たせる。
ボーイ・ミーツ・ガールの甘酸っぱさに、パンクロックを添え、さらに宇宙人と運命をブレンドしてあるのに、どうして破綻しているようでしてないのか。まさに新感覚な作品だった。
小説『しゃばけ』シリーズ
【日本/既刊21巻】※2022/11月現在
- ジャンル:時代小説
- 登場人外:妖
- 出版年:2001年(新潮社)
- 作品の雰囲気:ほのぼの、たまにシリアス
- 人外×人間の恋愛要素:あり(主人公よりも周囲の妖たちが)
あらすじ
江戸時代、人々でごった返す町にまだまだ妖たちが息づいていた時代。
とある薬屋の身体の弱い若だんなは、彼に仕える大妖の仁吉、佐助とともに、様々な妖が関わる珍事件を今日も解決していく。
基本的に一冊で話が完結するオムニバス形式だが、若だんなの成長、などといった大筋は存在している。ミステリーとしても楽しめるし、若だんなの「のほほん」とした雰囲気、彼の左右で目を光らせる妖従者らとの関係性も魅力的な一冊。
主な関連作品
⇒コミカライズ、ドラマ、舞台
2007年、テレビドラマ化。若だんな役を演じる手越祐也さんの瑞々しい演技が庇護欲をそそる。
20周年記念で2021年にスペシャルテレビアニメも制作されている。
本編コミカライズ版以外に、萩尾望都、高橋留美子などの豪華執筆陣で描かれた特別エピソード漫画『しゃばけ漫画』(全二巻)も非常に魅力的。
感想(ネタバレあり)
お気に入り度★★★★☆
ひらがなの不思議なタイトルがまず目を引く一冊。
手に取れば、そのタイトル通りに、どこか平和で優しい妖の世界に入ることができる。
主人公若だんなは、強い力を持つ存在ではないが(一応大妖の血は引いている)、強い意志の持ち主だ。行動するときの正義がはっきりしており、気持ちが良い。
それでも、人間として多くの壁にぶつかってしまうことがある。そんな時、従者二人をはじめとする周囲の温かさに支えられ、成長していく姿はとても眩しい。
江戸時代の妖ものに共通する、あの雑踏を行き交うような空気。この作品ももちろんそれを存分に味わえる。町人、妖の生活が交差する生き生きとした描写。
キャラクターたちも非常に魅力的だが、特に従者の仁吉は誰もが一度は惚れてしまうような、イイ白澤、だろう。「あたし」という一人称を聞いたとき、日本語の多様さ・江戸時代そのものに感謝してしまった。
彼、そして佐助が若だんなを選んでいる理由や忠誠心は妖主従が好きな人にとっては堪らないはず。