人間人外

いわゆる「人外」と呼ばれる生き物が登場する作品について

映画『パーティで女の子に話しかけるには』

パーティで女の子に話しかけるには

【イギリス、アメリカ/102分】

 

  • 原題:How to Talk to Girls at Parties (同タイトルの小説が原作)
  • ジャンル:SF、ロマンス
  • 登場人外:宇宙人
  • 上映:2017
  • 主要キャスト:エル・ファニング(ザン)/アレックス・シャープ(エン)
  • 作品の雰囲気:パンク、サイケデリック、鮮やかな色調
  • 人外×人間の恋愛要素:あり。メイン

 

あらすじ

 内気だがパンクロックをこよなく愛する青年エンは、ある夜、友人とともに奇妙なパーティにもぐりこむ。

 パーティ会場の人々が着ているのは、身体に張り付くような衣装。そして始まる独特なダンス……

 ふらふらと会場をさまよううち、エンは一人の女性ザンと意気投合する。

 二人は一緒にパーティ会場を飛び出した。だが、実は彼女は遠い惑星から来た宇宙人48時間後には母星に帰らなければいけないのだ。

 


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感想(重要なネタバレなし)

 お気に入り度★★★★☆

 前情報なしに見たので、宇宙人が出てくる話だったことにまず驚き。そうは思わないよ、この題名……。と思っていたら原作者ニール・ゲイマンのコメントで納得。異性は異星人ほどに遠いものか。

 それはさておき。あらゆる物語に出てくる宇宙人の造形が好きだが、今回の宇宙人もかなり奇抜で面白い。

 まず、いろいろ意味がわからない! というか理解させる気が――少なくとも最初の段階では――まったく感じられない。

 彼らは目の前でなんの説明もなく増えるし、融ける!

 私たちは、宇宙人のパーティに偶然迷い込んでしまった主人公と全く同じ立場で、突然コロニーだ、ペアレントティーチャーだなんだりと知らない単語を浴びせられる。

 この時点で完全な理解を放棄したら、あとは作品の雰囲気に呑まれるだけだ。ザンの奇妙さに驚き、微笑み、そして一緒にライブ会場でシャウト!

 

 だが、幸せなひと時に、48時間というタイムリミットと、ザンの抱える重要な役割が影を落とす。

 エンが所属する地球人の世界が薄暗い雰囲気で描かれているのに対して、宇宙人たちの世界は常に色鮮やか。その明るさが、逆に彼らの過酷な現実を際立たせる。

 ボーイ・ミーツ・ガールの甘酸っぱさに、パンクロックを添え、さらに宇宙人と運命をブレンドしてあるのに、どうして破綻しているようでしてないのか。まさに新感覚な作品だった。