人間人外

いわゆる「人外」と呼ばれる生き物が登場する作品について

映画『ゆれる人魚』

ゆれる人魚

ポーランド/92分】

 

  • 原題:CORKI DANCINGU / (英題)THE LURE
  • ジャンル:ミュージカル調ダークファンタジー映画
  • 登場人外:人魚 尾が非常にリアル
  • 上映:2018
  • 主要キャスト:マルタ・マズルカ(姉シルバー)/ミハリナ・オルシャンスカ(妹ゴールデン)
  • 作品の雰囲気:シリアス、気だるげ/性的描写・残酷描写あり(R15+)
  • 人外×人間の恋愛要素:あり

 

あらすじ

 人魚姫を独自の解釈で映画化。

 海からあがった人魚の姉妹がたどり着いたのはワルシャワのナイトクラブ。容姿端麗、美しい歌声を持つ二人はたちまちスターに。はじめての町、はじめて訪れるデパート、はじめて履く靴――そして、はじめての恋・快楽。

 姉妹の絆は、姉のシルバーがナイトクラブでベースを弾く青年に恋してしまったことから揺らぎ始め……


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感想(ネタバレあり)

 お気に入り度★★★★★

 ポーランド発のホラー映画、しかも人魚でミュージカルということで色々新鮮だった今作。

 ナイトクラブが舞台ということもあり、どこか妖艶で鬱屈した雰囲気のシーンが続く。かと思えば、姉妹がデパートに行くシーンなどは明るい音楽に彩られ、まるで某ディ〇ニー映画の一コマのようでもある。

 今作の人魚は、人を捕食して生きる存在でもある。姉妹は陸に上がるが、妹は人間を捕食する本能に忠実。美しい顔面にずらりと牙が並び、人にかぶりつくシーンは圧巻だ。

 そして、「人魚姫」のテーマでもある人魚と人間の恋も独自の展開を見せる。人魚側が払う犠牲というものを「手術」という現実的な方法で描いているのも面白い。足をつなぐ手術、その後のリハビリのシーンまで生々しく描く。

 そこまでしてなお、姉の恋は報われない。そのため、裏切った男が殺されるラストシーンは、おとぎ話の「二人は幸せに暮らしました」よりもよっぽど納得できるものではないか。

 ちなみに音楽がめちゃくちゃ良い。サントラをDLしてしまった。お気に入りはやはり、デパートシーンで流れる "I Came to the City"

 姉妹の見た目と名前、絶対逆の方がしっくりくる。