人間人外

いわゆる「人外」と呼ばれる生き物が登場する作品について

BL漫画『ワンルームエンジェル』

ワンルームエンジェル』はらだ

【日本/1巻完結】

 

  • ジャンル:BL漫画
  • 登場人外:天使
  • 出版年:2019(onBLUE comics)
  • 作品の雰囲気:ギャグの皮を被ったシリアス
  • 人外×人間の恋愛要素:あり……(性的描写なし)

 BLだが、二人の関係は簡単に言葉にできない類のもの

 

あらすじ

 惰性で生きているようなコンビニ定員の幸紀。うっかり絡まれたチンピラにうっかり刺され気を失う直前、彼は「天使」が空から舞い降りてきたのを見た。

 (死んだ。)そう思った幸紀だったが、気づけば退院の日。一か月ぶりに帰った家には、なぜかあの時の天使が座っていた。ふてぶてしい態度で。

 そうして、飛べないという天使が天に戻れるようになるまでの、二人の奇妙なワンルーム生活が始まったのだが……

感想(ネタバレあり)

 お気に入り度★★★★★

 電子で買った後に紙でも買い直したほどに好きな作品の一つ。

 前半、幸紀の残念っぷりと天使のふてぶてしさに笑った後、幸紀の事情に横っ面を殴られ、天使の正体=自殺してしまった少年、にたどり着いたときには涙腺が崩壊していた。

 人外としての天使の設定も妙で、主人公の感情を直接受容してしまう性質や、悲しみ苦しみで羽が抜け落ちてしまう、などの設定も新しい。羽が抜けるシーン、真っ白な背景に散らばる羽根の虚しさに胸が痛くなる。

 惰性で生きている主人公の始まりから、天使との交流と真実の発覚、そして別れまでのテンポの良さ、各人物の感情の描き方、落としどころ、どれをとっても最高の作品だと思う。

 電子限定特典のネームも読んでほしいが、同時に紙の本でページを開いたときの見開き大コマの迫力を味わってほしいとも思ってしまう。大コマの使い方が絶妙……